朝は洗顔料を使わないほうが肌にいい。そう聞いてから、朝の洗面台で手が止まるようになった。そういう方は多いと思います。
この説は、まるごと間違いでもなければ、誰にでも当てはまる正解でもありません。分かれ目になるのは肌質という曖昧なものではなく、朝起きた直後の肌の状態です。突っ張っているのか、ぬるっとしているのか。判断はそこでつきます。
水だけで足りる肌と、足りない肌。まずはその境目から見ていきます。
朝洗顔をしないほうがいいと言われる理由
言われていることを分解すると、根拠は3つに整理できます。それぞれ、当たっている部分とずれている部分があります。
| よく言われること | 当たっている部分 | ずれている部分 |
|---|---|---|
| 洗いすぎると乾燥する | 洗浄力の強い洗顔料で毎朝こすれば、肌の水分は減る | 原因は洗顔料を使ったことではなく、洗浄力の強さと摩擦にある |
| 夜に塗ったスキンケアを流したくない | 塗った直後の油分は肌の上に残っている | 朝まで同じ状態では残っていない。空気に触れて質が変わる |
| 皮脂は肌を守るものだから残すべき | 皮脂の膜には肌の水分を保つ働きがある | 必要なのは薄く広がった膜のほうで、毛穴にたまった分ではない |
いちばん誤解が多いのは2つ目です。夜のクリームやオイルは、寝ている間に自分の皮脂と混ざり、時間が経つことで肌にとって不要な古い油汚れに変わっていきます。この古くなった油分はデリケートな肌にとって刺激になりやすく、朝の時点では守ってくれるものではなく、流したいものに変わっています。
高いナイトクリームを流したくないという気持ちは分かります。ただ、あの成分が翌朝まで働き続けているわけではありません。夜のうちに仕事を終えて、油分だけが残っている状態です。
寝ている間に肌の上で起きていること

朝の肌についているものは、大きく4種類あります。
| ついているもの | 中身 | 水だけで流れるか |
|---|---|---|
| 皮脂 | 寝ている間も分泌され、毛穴から出てくる油分 | 流れにくい |
| 汗 | 就寝中の発汗。水分と塩分が中心 | 流れる |
| 前夜のスキンケアの油分 | 乳液、クリーム、オイル。皮脂と混ざって酸化する | 流れにくい |
| ほこりと寝具からの付着物 | 枕カバーや布団からの繊維、室内のちり | ほとんど流れる |
皮脂の量については、起床時が入浴直後の8倍にあたるという測定結果があります。20代男性の額を測ったデータなので、女性の肌にそのまま当てはめる数字ではありません。それでも、寝ている間に何も出ていないわけではないことは分かります。
分泌のタイミングにも偏りがあります。皮脂は朝から昼にかけて活発になり、午後は少しずつ落ち着いていく流れ。起きた直後は、これから増えていく手前の時間帯にあたります。
汗のほうは、睡眠の後半で減っていきます。朝の顔がべたつく方の場合、原因は汗より皮脂と前夜の油分だと考えたほうが近いです。
水だけで落ちるもの、落ちないもの
期待と現実がずれやすいところなので、切り分けておきます。
| 水だけで落ちるもの | 水だけでは落ちないもの |
|---|---|
| 汗 | 皮脂 |
| ほこりや繊維くず | 前夜の乳液やクリームの油分 |
| 表面に浮いた古い角質の一部 | 皮脂とスキンケアの油分が混ざり合った不要な油汚れ(古い油分) |
理由は単純で、油は水に混ざらないからです。食器についた油を水道水で流しても、ぬるっとした膜が残る。あれと同じことが顔の上でも起きます。
油を水になじませて流すには、洗顔料に入っている界面活性剤が要ります。ぬるま湯にすれば皮脂は少しやわらかくなるので、表面の新しい皮脂ならある程度は流れます。ただ、酸化してねばりが出た油分になると、ぬるま湯では動きません。
つまり、水だけの洗顔で落ちているのは汗とほこり。ここを把握したうえで足りるかどうかを決めるのが、迷わないやり方です。
朝洗顔しないほうがいい人としたほうがいい人の見分け方

判断は、起きてすぐの肌でします。顔を洗う前、何もつけていない状態で、指の腹をTゾーンと頬に順番に当ててみてください。
| 触った感触 | 朝の洗顔 |
|---|---|
| 顔全体が突っ張る、粉が浮く | ぬるま湯だけで足ります |
| 顔全体がぬるっとする、テカる | 洗顔料を使ったほうが落ち着きます |
| 頬は突っ張るのに、Tゾーンだけぬるっとする | Tゾーンにだけ洗顔料を使い、頬はぬるま湯で流します |
| 特に何も感じない | 夜のケアで決めます。下の表へ |
感触で決まらなかった場合は、前の晩に何を塗ったかで判断できます。
| 前夜のスキンケア | 朝の洗顔 |
|---|---|
| 化粧水と乳液まで | ぬるま湯だけでも足ります |
| クリーム、バーム、オイルを使った | 洗顔料を使ったほうが残りません |
| 夜用の油分の多い美容液やスリーピングマスク | 洗顔料を使ってください |
朝に日焼け止めや化粧下地を塗る方も、洗顔料を使う側に寄せたほうが無難です。皮脂と酸化した油分が残った上に日焼け止めを重ねると、崩れやすくなります。
もうひとつ、季節で変わることも覚えておくと楽です。冬に突っ張っていた方が、夏には朝からべたつく。同じ人でも境目は動くので、洗顔料を使うか使わないかを一度決めて固定しなくていいと思います。触ってから決める。それだけで十分です。

肌質別に見た朝洗顔の扱い
自分の肌質から入りたい方向けに、同じ内容を並べ直しておきます。
| 肌質 | 朝の扱い | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 乾燥肌 | ぬるま湯だけで足りることが多い | 突っ張りが強い日でも、洗顔後の保湿は省かない |
| 脂性肌 | 洗顔料を使う | 落としきりたくて回数を増やすと、かえって皮脂が増える |
| 混合肌 | Tゾーンだけ洗顔料、頬はぬるま湯 | 泡を顔全体に広げず、乗せる場所を分ける |
| 敏感肌 | 調子が悪い日はぬるま湯だけ | 落ち着いている日に洗顔料へ戻す。ゼロか百かで決めない |
| インナードライ | 洗浄力のおだやかな洗顔料を短時間 | 水だけにすると皮脂がさらに増える方向へ動きやすい |
インナードライだけ補足します。表面はべたつくのに内側は乾いている状態で、朝に触るとテカっているので脂性肌と判断されがちです。ここで洗浄力の強いものを使うと、水分が減ってまた皮脂が出る。この往復に入っている方は、洗浄力がおだやかな洗顔料に替え、洗う時間を短くすることで、肌のうるおいを守りながらやさしく洗い上げ、すこやかな状態を保ちやすくなります。
年齢で変わる朝の皮脂量
同じやり方が10年後も合うとは限りません。皮脂の量が変わるからです。
| 年代 | 朝の皮脂の傾向 |
|---|---|
| 20代 | 分泌が活発な時期。朝からTゾーンがテカりやすい |
| 30代 | 少しずつ落ち着き始める。頬とTゾーンの差が開いてくる |
| 40代 | 全体の皮脂量が減る。混合肌だった方が普通肌や乾燥肌寄りに移る |
| 50代 | 水分量と皮脂量がさらに減る。朝に突っ張る日が増える |
20代のときに合っていた洗顔料を40代でそのまま使っていると、洗い上がりが強すぎることがあります。製品を替えていないのに最近つっぱるようになった。そう感じているなら、肌のほうが変わったと考えたほうが近いです。
朝の皮脂量が減ってきた年代では、洗顔料を毎朝から隔日に減らす、あるいは洗浄力のおだやかなものへ替える。このどちらかで調整できます。
朝洗顔を省いたときに起きること
水だけで済ませ続けた場合に、実際に出やすい変化を並べます。全部が全員に起きるわけではなく、皮脂の多い方ほど出やすい内容です。
| 起きること | 中身 |
|---|---|
| 化粧のりが変わる | 皮脂と古い角質が残った上にファンデーションを重ねるため、密着しにくくなる |
| 日焼け止めがよれる | 油分の上に塗ることになり、汗と混ざって流れやすくなる |
| 毛穴が詰まる | 夜のうちに出た皮脂と前夜の油分が毛穴に残り、角栓のもとになる |
| ニキビ予防が難しくなる | 古い皮脂や汚れを洗い流し、お肌を清浄に保つことによるニキビ予防が難しくなる |
| 肌が暗く見える | 古い角層が残ったままになり、くすみ※として見える(※古い角層の蓄積によるもの) |
日焼け止めの話は見落とされがちなところです。朝の紫外線対策をきちんとしている方ほど、その下地になる肌の状態で差が出ます。せっかく塗ったものが昼前によれてしまうなら、洗顔を省いた分の得が消えてしまいます。

拭き取りシートやクレンジングウォーターは代わりになるか
結論から書くと、毎朝の代わりにはなりません。理由は落ちる落ちないではなく、摩擦です。
シートやコットンで顔をなでる動作は、水と泡で流すのに比べて肌を引っ張ります。毎朝続けると、古い角層が厚く残ってくすみ※につながります(※古い角層の蓄積によるもの)。特に小鼻のきわと目のまわりは、力が入りやすい場所です。
ただ、使い道がないわけではありません。
- 寝坊した日や、体調が悪くて洗面台に立てない日の代役として
- 旅行先や災害時など、水が自由に使えない場面で
- 夜のクレンジングが終わらないまま寝てしまった翌朝の応急処置に
使うときは、量をけちらないこと。シートが乾いた状態で肌にあたると摩擦がそのまま増えます。たっぷり湿った面を滑らせて、往復させない。終わったらすぐ化粧水まで進む。この3つを守れば、たまに使う分には問題ありません。
クレンジングウォーターも扱いは同じです。メイクを落とす力はありますが、コットンでこする前提の製品なので、毎朝の主役には向きません。
洗顔料のタイプ別、朝の向き不向き
朝に使うなら、落ちる量より洗い上がりで選んだほうが失敗しません。
| タイプ | 洗い上がり | 朝の向き不向き |
|---|---|---|
| 泡タイプ | おだやか | 泡立てる手間がなく、朝に向く。忙しい方の第一候補 |
| 洗顔フォーム | 製品による幅が大きい | 泡立てられるなら朝でも問題なし |
| ジェルタイプ | おだやか | 泡立て不要で摩擦を減らしやすい。乾燥しやすい方に向く |
| 固形石けん | さっぱり | 朝からべたつく方には合う。突っ張る方には強いことがある |
| アミノ酸系 | おだやか | 乾燥しやすい肌、敏感な時期に向く |
| 酵素、スクラブ | しっかり | 朝には向かない。使うなら夜に週1〜2回まで |
泡タイプとジェルタイプで迷ったら、朝に突っ張る方はジェル、朝にテカる方は泡。この分け方でだいたい合います。
酵素とスクラブを朝に持ってこないほうがいい理由は、そのあとに日中の紫外線が控えているからです。角質のケアをした直後の肌は刺激を受けやすくなるので、そのまま外に出る朝より、寝る前にまわしたほうが安全です。

ぬるま湯の温度と、朝の洗い方

温度は32〜34℃。体温より少し低い、手で触って熱くも冷たくもない範囲です。
熱いお湯のほうが皮脂は落ちます。ただ、落としたくない分まで流れるので、洗い上がりの突っ張りが強くなります。40℃を超えると、洗顔のあとに何を塗っても間に合わない感覚になることがあります。
冷水は逆で、皮脂が固まって落ちにくくなります。目が覚めるので朝に使いたくなる気持ちは分かりますが、汚れを流す目的なら向きません。すすぎの最後に一度だけ冷水を当てる程度にとどめてください。
洗い方は夜と同じで構いません。順番だけ確認しておきます。
- 手を洗ってから顔に触れる
- 32〜34℃のぬるま湯で顔全体を濡らす
- 洗顔料を泡立てる。逆さにしても落ちない硬さまで
- 皮脂の多い額と鼻に泡をのせ、そこから頬とあごへ広げる
- 顔の上で泡を転がす。全体で30秒から1分
- ぬるま湯で20回すすぐ。小鼻のきわ、フェイスライン、生え際は残りやすい
- 清潔なタオルを押し当てて水分を吸わせる
朝は時間がないぶん、すすぎが雑になりがちです。洗う時間を短くするのは構いませんが、すすぎは削らないでください。洗顔料が残ったまま日中を過ごすほうが、肌には負担になります。
洗顔後、保湿までにかけていい時間
顔を拭いてから化粧水までは、5分以内を目安にしてください。
ネットでは1分以内という数字もよく見かけます。ただ、洗浄の直後に保湿した場合と30分後に保湿した場合で、肌の水分量に差が見られなかったという研究もあります。(※一般的な肌の水分量に関する研究結果の一例です)1分を過ぎたら手遅れ、という話ではありません。
現実的なところで言うと、タオルで押さえたらそのまま化粧水まで進むのがいちばん楽です。時間を計るより、途中で歯を磨いたりスマホを見たりしない。それだけで5分は守れます。
化粧水だけで朝のケアを終えてよいか
朝は日焼け止めまで塗るので、化粧水だけで止めるとその間が空きます。
化粧水は水分が中心なので、そのままにしておくと蒸発していきます。上から乳液やクリームの油分を薄く重ねると、水分が残りやすくなる。朝の場合は、乳液を薄く塗ってから日焼け止めという流れで足ります。
べたつきが気になる方は、クリームを省いて乳液だけにする。頬は乾くのにTゾーンはテカるという方なら、乳液を頬に多め、Tゾーンに薄く。顔全体に同じ量を塗るという決まりを外すと、たいてい落ち着きます。

ニキビや肌荒れがあるときの朝洗顔
ニキビが出ているときは、朝も洗顔料を使って余分な皮脂汚れをきれいに洗い流してください。毛穴に皮脂がたまった状態を長く続けないほうがいいからです。
ただし、洗い方は変えます。ニキビの上で指を動かさない、泡を乗せて置くだけにする、すすぎは押し流すように。触る回数が増えて肌に刺激を与えてしまうと、すこやかな状態を保ちにくくなるため、洗顔料でやさしく汚れを落とす時間はむしろ短めにするのがポイントです。
赤みやヒリつき、皮むけが出ているときは判断が変わります。この状態で洗顔料を使うと刺激が加わるのでヒリつきなどが気になる間は、ぬるま湯だけにするなど肌をいたわるケアに切り替えてください。1週間ほど様子を見て変わらないなら、洗顔料を替える前に皮膚科で相談したほうが早いです。
塗り薬を使っている場合は、その使い方の指示が優先です。朝に塗るタイプなら洗顔のあとに、という順番が決まっていることもあります。
朝の洗顔と夜の洗顔で違うこと
同じ洗顔でも目的が違います。
| 落とすもの | 洗い方 | |
|---|---|---|
| 朝 | 寝ている間に出た皮脂、汗、前夜のスキンケアの油分 | 短く、軽く。30秒から1分で足りる |
| 夜 | 日中の皮脂、メイク、ほこり、日焼け止め | クレンジングと合わせてしっかり。落とし残しを作らない |
夜のほうが落とすものが多く、洗顔だけで完結しません。メイクや日焼け止めを使った日はクレンジングが要ります。
朝は逆で、落とすものが限られています。だからこそ、洗浄力の強いものを持ってくる必要がない。朝の洗顔で失敗する方の多くは、足りないのではなく、やりすぎているほうです。
朝洗顔についてよくある質問

朝洗顔をしないほうが肌がきれいになるって本当ですか?
朝は洗顔料をやめたほうがいいと聞きました?
朝用のシートマスクを使えば洗顔しなくていいですか?
40代になってから朝の洗顔をどうすればいいか分からなくなりました。
水だけの洗顔を続けていたら、いつ切り替えればいいですか?
泡タイプとジェルタイプはどちらがいいですか?
朝洗顔をやめたら乾燥が減りました。このままでいいですか?
まとめ|朝洗顔で決めておく3つ

- 起きてすぐの肌を指で触る。突っ張るならぬるま湯だけ、ぬるっとするなら洗顔料
- 前の晩にクリームやオイルを使った翌朝は、洗顔料を使う
- 拭き取りシートは代役として持っておく。毎朝の主役にはしない
朝洗顔をするかしないかは、性格でも意志でもなく、その朝の肌が決めます。昨日と今日で違っていて構いません。
まずは明日の朝、顔を洗う前にTゾーンと頬を順番に触ってみてください。感触が違っていたら、洗顔料を乗せる場所を分けるところから始められます。

